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洋楽メモランダム

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地中海文明のメッセンジャー・塩野七生女史の「ロードス島攻防記」を読んで(Book reviewing of Rhodes war by nanao shiono)

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タイトルどおりの「ロードス島攻防記」です。 

ロードス島攻防記 (新潮文庫)

ロードス島攻防記 (新潮文庫)

 

塩野七生さんの著作は20年ほど前から読ませてもらっていますが、ここ数年はご無沙汰でした。

ところが、去年友人から「海の都の物語」を借りて読んでから、再び私の中で地中海シリーズに火がついてしまったのです。

そんなわけで今日取り上げるこの本は、その地中海シリーズの序章ともいうべき「キリスト教徒vsイスラム教徒」の熱い戦いを小説風に展開したものです。

ロードスという島の位置が、いかに当時のキリスト教国にとって絶妙の場所にあったかということは、地図を見れば一目瞭然なのですが、すぐ対岸にあるイスラム帝国への最前線基地として、そしてキリスト教徒をイスラムの奴隷化から救う聖戦の徒の根城として、島の勢威と騎士団の武威は広くヨーロッパ全域に知れ渡っていたというのが、当時の情勢であります。

 

もちろん対するイスラム側からすれば「のどに刺さった魚の骨」のように忌々しい、というわけなのですが・・・

これはそんなイスラム帝国とロードス島を根城とするキリスト教騎士集団「聖ヨハネ騎士団」との戦いの様子を、歴史と政治学を含めた複数の目で、塩野七生女史が切り込んだ一大軍事絵巻となっているのです。

とくに圧巻なのが、その軍事外交の描写のリアルさ。

城壁建設の際の描写や、当時の国際間の虚実綯交ぜの権謀術策に関する説明など、まるで現代の世界情勢のようにリアルに感じ取れる筆の鋭さは、読んでいて本当に心が熱くなります。

さらには小説の真骨頂ともいうべき、人間描写の確かさも、読んでいるこちら側をも、まるで当時の戦役の真っただ中にいて、あたかもアントニオと共に自分の運命もロードスとともにあるのだと同調させる点がさすがです。

塩野さんの優れたところは、決してキリスト教側やイスラム側のどちらにも筆を加担せず、ただ淡々と両者の比較とそれらを取り巻く情勢を描き出すところにあります。

ときおりくわえられる、高所にたった文明社会評論などは、司馬遼太郎氏を彷彿とさせるある種の透明感が感じられます。

などと、分かったような口を聞いてしまいましたが・・・

まあ要するに、この歴史小説はとても読み応えがあるし、なにかしらそこに住む人々や土地に愛着を感じさせる、独特の引き込み感があるというわけですね。

スレイマン大帝の騎士道精神に満ちた降伏勧告や、それを受けた騎士団の苦悩、さらにその後の騎士団の行く末など、戦役が終わった後の歴史や人々の運命も、この本では熱く描かれています。

私が一番驚いたのは、マルタ島に移ったことでマルタ騎士団と名を変え、さらにナポレオンに敗れて再び難民となり、ようやく腰を落ち着けたローマで、なんと現在も騎士団としての役割を後世に伝えているということです。 

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1023年の創設以来、およそ960年。長い間イスラムとの戦いを本領としてきた騎士団が、未だに続いていることそのものが奇跡と言えるのでしょう。

この作品以外にも、塩野さんの書籍は多く読みましたが、どれも地中海文明への女史の深い洞察力と愛情に満ちた、素晴らしい作品であることは間違いありません。 今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。  

I like the way of Nanao Shiono's drawing for the Mediterranean civilzation.   

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